体外受精

Q

春木レディースクリニックではステップダウン(※)によって妊娠する方が多いとのことですが、その理由は?

A

現在の体外受精が最高の治療かと言えば、必ずしもそうとは言えません。培養液という体外環境が開発されてから約40年程度、顕微授精という技術が生まれてから25年程度が経ちますが、いまだに胚を発育させる環境としては体内環境には及びません。体外受精で妊娠しなかったけれど、自然妊娠したご夫婦は比較的多く、実際に体外受精で良好胚が得られない方こそ、体内環境に期待すべきであると我々は考えます。極端にいえば、閉経後、あるいは明らかな受精困難症例(高度の男性不妊症)、子宮摘出後や両側卵管切除(結紮)術後の方を除き、自然妊娠が不可能ではないと考えます。そのため当クリニックでは、他のクリニックで体外受精を経験されていても、本当に一般治療による妊娠が難しいのかどうかを検討するようにしています。
体外受精の適応を決定する際に注意すべきことは、「先入観」です。例えば、患者様の年齢が40歳以上で比較的高かった場合、卵管通過性の検査などを行わずに、最初から「体外受精しか方法はない」と診断される場合が多くあります。しかし、当クリニックでは問診から「真の不妊期間」「今までの治療歴」などの情報を収集し、必要である検査を行ったうえで診療方針を決定します。多くの40歳以上の方が一般治療で当クリニックを卒業されています。そうした実績を経験しているからこそ、ステップダウンにも自信を持って取り組んでいます。
※体外受精から一般治療に戻ること

Q

「体外受精を行っても妊娠しなかったら…」とご不安な方にお伝えしたいことは?

A

「不安になるお気持ちはよくわかりますが、まずは一度ご相談ください」だと思います。私は今まで、幾度となく治療を受けてもなかなか妊娠されない方の治療を数多く担当させて頂きました。結果として、多くの方の笑顔を拝見することができました。確かに結果がでるまで時間がかかった方もいらっしゃいました。他のクリニックでは10回以上移植して1回も着床しなかったような方が、やむをえず2個の胚移植を行い、1回目の胚移植で卒業されるというケースや両側卵管閉塞で体外受精しかないと断言された患者様が「卵管鏡下卵管形成術」を行った周期に妊娠されたというケースが多々あります。私には、いわゆる難治性不妊症、あるいは体外受精が反復不成功だった患者様を数多く診療し、良い結果に導いてきたという実績と自信があります。もちろん医療に絶対はなく、100%良い結果を提供できると断言はできませんが、「まずはお気軽にご相談下さい」が最もお伝えしたい事です。

Q

初めて体外受精を受けられる患者様に対して、春木レディースクリニックが実施している方法について教えてください。

A

当院には大きく分けて2つのタイプの患者様が受診されます。ひとつは、今まで専門的な不妊検査・不妊治療を受けられていなかった方、そして他院で何度も体外受精、顕微授精、胚移植を実施されてはいるものの、なかなか結果が出ないような方です。前者には、いわゆる不妊治療を専門としないクリニックや病院で数回程度タイミング療法を受けられていた方も含まれます。2016年の統計をみると、生殖補助医療(新鮮胚移植または凍結融解胚移植)で妊娠された方が157名、生殖補助医療以外の一般治療で妊娠された方が245名という実績でした。実際には、不妊治療専門のクリニックを初めて受診される方の過半数が当院で実施した一般治療によって妊娠されていますので、生殖補助医療にステップアップされる方は当院ではそれほど多くはありません。ステップアップする場合でも、不妊原因の多くが「卵子が卵管内に捕捉されないピックアップ障害」か「精子の受精能が低下している受精障害」と考えられますから、スタンダードな方法で早期に妊娠成立される方が非常に多いです。当院におけるスタンダードな方法とは、世界中で広く行われている調節性卵巣刺激法を採用し、初回治療の場合には「受精障害」の可能性が否定できないため、採取した卵子を一般体外受精(媒精)と顕微授精に振り分けて受精させる「スプリット法」を推奨しています。適正な排卵誘発法が我々の研究テーマのひとつであり、年齢、卵巣予備能力、胞状卵胞数、排卵障害の有無、インスリン抵抗性や下垂体ホルモンなどの内分泌学的な特性を踏まえた上で、調節刺激法や使用する製剤などのプロトコールを決定しています。今までの我々の経験やビッグデータの解析結果から、最も妊娠に近づける手法を提案していますので、2016年の40歳未満の方における胚移植あたりの臨床妊娠率は45.4%と非常に高くなっています。

Q

他院で何度も体外受精を実施しているのになかなか良い結果になりません。春木レディースクリニックではそういった方々に、どのような治療をされているのでしょうか?

A

体外受精を反復して受けられてはいるものの、なかなか継続妊娠まで至らない方々も我々のクリニックへ毎日のように転院されてこられます。これらの方の特徴として、前医では年齢と卵子と精子と胚だけに注目し、その他の原因をあまり追及されていない方が多いように見受けられます。我々は、まず着床に必要な要素を再検討し、卵管留水腫や子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫、子宮腺筋症などの器質的な疾患がないか、今までの胚移植のプロトコールの確認とそれによって着床反応があったのか、組織学的な子宮内膜の評価はされていたのか、移植後の黄体管理は適切だったのか、などのあらゆる項目について私を含め初診担当医、他の常勤・非常勤医で検討協議します。場合によっては、子宮卵管造影検査や子宮鏡、子宮内膜日付診、ホルモン負荷試験をはじめとする内分泌学的な検査を加えていきます。ときには、血液凝固系や免疫異常などの着床障害検査を細かく実施し、反復して結果が出ない方であっても当院における「最初の胚移植」で妊娠成立して頂けるようにスタッフ一丸となって努力していきます。そのために、胚質を改善させるべく内服治療を行ったり、内視鏡・腹腔鏡下手術を予定する場合もあったりと、採卵や胚移植まで少し時間がかかることもありますが、周到な準備こそが妊娠成立への近道だと我々は考えます。また、医師・胚培養士・看護師・受付の全部門による「生殖補助医療会議」を毎月開催し、受精・胚培養状況・妊娠率や症例検討を行い、受精方法の見直しや培養液の検討などを行っています。こうした分析力の高さや不断の努力こそが我々の体外受精の特徴であると思います。

Q

春木レディースクリニックでは体外受精の費用はどのように設定されているのでしょう?

A

我々はクリニックの理念として、高い専門性を維持しながらも患者様の様々な負担軽減を第一に考えることを掲げています。通常は高額と思われがちな体外受精の治療費も例外ではありません。実際に我々が採用しているのは「成果主義型の治療費」です。具体的に言えば、費用そのものは、「採卵できた卵子の数」、「受精方法」、「正常受精した卵子の数」、「胚培養した期間」、「凍結できた胚の数」によって大きく変わります。一回の採卵で1個の卵子しか採れなかった場合と、20個の卵子が採れた場合では、後者のほうが妊娠への期待値も上がります。我々は不妊治療・生殖補助医療のプロフェッショナルとして、可能な限り「採卵数・正常受精数・良好胚数」を患者様に提供したいと考えており、またそれが実現できるという自信もあります。しかし、多くの卵子が採卵できても受精や胚発育が不良であった場合は最終的に胚凍結できない事があるかもしれません。確かに「採卵~受精~胚移植または胚凍結」をセットとして考え、一律の費用負担を行うことが間違っているとは思いません。しかし、我々は不妊治療・生殖補助医療のプロフェッショナルとして、医師や胚培養士をはじめ、看護師、受付、カウンセラーなどすべてのスタッフが患者様の結果を厳粛に受けとめる必要があると考えます。そのような観点から、採卵数・正常受精数・良好胚数が想像以上に少なかった場合には、患者様の経済的な負担ができるだけ少なくなるようなシステムにし、皆様が経済的な理由から治療を断念することがないような配慮が必要だと我々は考えております。たとえ残念な結果であっても、次こそはと思われる患者様をスタッフ全員が寄り添うような高いホスピタリティ精神で支援させて頂き、近い未来に願いがかなった喜びの瞬間を我々にも共有させて頂ければ、これほど幸せなことはありません。

Q

春木レディースクリニックでは体外受精を行う場合、主治医制となるのでしょうか?

A

当院は、日本生殖医学会によって「認定研修施設」に指定されており、将来の日本の生殖医療をリードする「生殖医療専門医」を数多く指導する義務があります。また、大学病院の「指定研修施設」にも認定されており、教育医療機関という側面を持っています。実際に、当院では多くの産婦人科専門医が「生殖医療専門医」を目指して日夜診療にあたっており、クリニックが監修した「医師研修マニュアル(外来診療・手術)」を全員に配布し、それを基に診療・手術を実践しています。また、体外受精のみならず一般治療においても治療方針の決定には私を含め上級医師の了解が必要なシステムになっています。これは、電子カルテ・ファイルメーカーを用いたデータベースシステムがあればこそのシステムであり、例え医局や手術室、培養室等に在室した場合でも患者様の検査結果や超音波所見が確認でき、同時に排卵誘発・胚移植・妊娠スケジュールについても照会可能になっています。医師の教育・訓練にはやはり時間がかかりますが、一定のスキルに達成した後には生殖補助医療に関連する採卵や胚移植、卵管鏡下卵管形成術、子宮鏡手術などを曜日毎に担当するという方針をとっており、同じ医師がすべてを担当する主治医制とはなっておりません。一定スキルに達成後も診療内容や手術手技については、上級医師が必ず評価を行い必要があれば是正していくスタンスをとっています。これからも増え続ける可能性のある不妊に悩むご夫婦のため、我々は生殖医療のプロフェッショナルを数多く養成する必要があることをご理解頂ければ幸いです。

Q

サイトをご覧の方へメッセージをお願いします

A

当クリニックでは、「心理カウンセリング」「栄養カウンセリング」「遺伝カウンセリング」など、各種カウンセリングを無料で受けて頂くことができます。それは、患者様に治療を提供する上で、できる限りのバックアップ体制を整えておきたいからです。また、スタッフのサポートの質にも自信があります。我々が頂く「患者様の声」の中には、医師だけではなく、スタッフに関する感謝の言葉がとても多く書かれています。例えば、「受付の方の笑顔に癒されました」「辛い時に、看護師の方の温かいサポートに励まされました」など、たくさんの有り難いお言葉を頂戴しています。
我々は法人名を「正しくお子様を育んで頂けるクリニック」でありたいと願い、「正育会」と命名いたしました。すなわち、私たちの究極の目的は、不妊症でお悩みのご夫婦に「赤ちゃんを授けること」ではなく、「新しく誕生する生命を幸せにすること」であり、その結果として「お子様のいる幸せな日々」が達成できるのだと思います。
治療の過程で、辛いこと、大変なこと、くじけそうになることもあるかと思いますが、そうした困難を乗り越えたからこそ新しい生命を授かったのですから、子育てに迷った時や、壁にぶつかった時などには、治療中の「頑張り」を思い出して頂ければ、きっと解決できるはずですよね。