不妊治療

Q

春木レディースクリニックのコンセプトを教えてください

A

不妊治療、体外受精などの治療に限らず、医療では「有効であると思われる検査・治療を行う必要がある」と考えています。これが、診療を行う上での基本です。しかし、それだけでは不十分で、「専門医」として求められている以上の診療を実現するためには、エビデンス(根拠)をもとに、不妊症でお悩みのご夫婦が望まれる最良の結果を導き出さなければいけません。
ただし、診療を行う側が「こうしなさい」「この方法しかありません」などと診療を押し付けるのではなく、ご夫婦の意向をお聞きした上で複数の選択肢を提示し「それぞれのメリット・デメリットをご説明したうえで一緒に最良の方法を考えていく」というスタイルが我々のコンセプトです。
つまり患者様とのナラティブ(対話)の中で短期的・長期的な診療スケジュールを進めて行くことこそが最も重要であると我々は考えています。
患者様のご意向を最大限に優先するわけですが、専門家の目から見た時に、ご希望とされる治療方法があまり現実的でない、あるいは費用面などで負担が大き過ぎると思われる場合もあります。そうした場合には、患者様の現状などを詳しくご説明して、エビデンスに基づいた専門的なアドバイスを行うようにしています。こうした考えから、当クリニックでは「エビデンス(根拠)にはじまり、ナラティブ(対話)におわる医療」というコンセプトを掲げています。

Q

産婦人科医を目指されたきっかけを教えてください

A

私が学生の頃は、大学を卒業して医師免許を取得した時には、すでに内科、外科、小児科などの入局先が決まっているのが一般的でした。今でこそ普通にスーパーローテート研修(※)が行われていますが、当時、大学病院規模でそうした研修を実施しているところは少なく、その中で私の理想に近い研修スタイルが可能な横浜市立大学医学部附属病院を選択しました。
横浜市大附属病院の研修医として2年間、循環器内科、心臓外科、救命救急、産婦人科、小児科など、様々な科をローテートしたのですが、研修医2年目の時、産婦人科で当直中に「産後の出血が止まらない」という患者様が運ばれてきました。産道損傷に対する外科的な処置は終了していたのですが、ICU入室後に継続的な輸血をしている割にはバイタルサインが今一つ安定しなかったため、「これはおかしい」と思い、自己判断で超音波検査を行ったところ、腹腔内ではなく、超音波では見えづらい場所である後腹膜に血腫ができているのを確認しました。その後、すぐに上司に連絡を取って緊急手術を行い、その患者様は一命を取りとめることができました。その時、上司から「君は循環器内科や外科などに行っても力を発揮できると思うが、産婦人科で、例えば母となる若い命や、これから生まれてくる新しい命を守ることに全力を尽くすことはとてもやりがいがあると思わないか?」という言葉に胸を打たれ、また、目の前にいる患者様の命を救うことができた達成感もあって、生命の誕生に関わる今の道に進むことを決意しました。

※研修医が2年間の初期研修の期間中に、内科・外科・小児科・産婦人科などの多科を回って研修を受ける制度

Q

不妊治療を行っていて、どんな時にやりがいを感じますか?

A

1つは、不妊症で悩まれているご夫婦が検査や治療を通して絆を深めていく瞬間を実感できたときです。もちろん最終的には、妊娠成立から産院に転院するまで(当院では“卒業”と呼んでいますが)を見届けられたときが一番やりがいを感じます。でも、そこまでの過程もとても大切で、卒業に至るまでの過程を共有できているという喜びはこの分野に従事していないと体験できないと思います。もう1つは、当クリニックをご卒業される患者様時に、「もうここに来られないかと思うと寂しい」「またここで次の子もお願いしたい」と言ってもらえた時です。私はこのクリニックを「ただ治療を提供するためだけの場所」とは思っていません。例えば、赤ちゃんを授かって当クリニックをご卒業された後も、「スタッフの皆さんは元気にしているのかな?」や「今度はファミリールームを利用するんだね」などたまにはご家庭の話題にあがるような場所でありたいと思っています。当クリニックにはファミリールームがあり、そこでお子様をお預かりすることができるのですが、当クリニックで妊娠された1人目のお子様をお預かりしながら、2人目の妊娠をサポートさせて頂いたりする時には、非常に大きな喜びを感じます。

Q

春木レディースクリニックの不妊治療の特徴を教えてください

A

まず基本的なこととして、「患者様を中心とした診療」を行っている点です。常に患者様の目線に立って、クリニックの内装から雰囲気、プライバシーへの配慮やお待たせしないような工夫なども含めて快適な環境作りに努めています。また、スタッフも患者様を第一に考えたホスピタリティを実践しています。私がスタッフに対して「誰かを幸せにすることではじめて、自分も幸せになれる」ということを決して忘れないよう常々指導しています。こうしたおもてなしの心ですべてのスタッフが患者様をお迎えするようことができるように日々努力しています。

そしてもう1つは、「患者様の三大負担の軽減」を心がけて診療を行っている点です。「三大負担」とは、「経済的な負担」「身体的な負担」「精神的な負担」であると私は考えます。まず「経済的な負担」の軽減について言えば、他のクリニックでは、採卵数や正常受精した卵子の数、凍結した胚の数に関わらず同額の費用を請求する場合がほとんどですが、当クリニックでは「1回の採卵で1個の卵子しか採れなかった場合と、たくさんの卵子が採れた場合」や「正常受精数」、「胚凍結数」とで費用を大きく変動させる「成果主義型の費用設定」を採用しています。例えば、15個の卵子が採れ、10個の正常受精卵が確認され、5個の良好胚が凍結できた場合には、妊娠への期待値も上がることから、それに応じた費用負担をお願いしています。ただし、それでも都市部の一般的なクリニックの半分程度の費用です。そして、1個の卵子しか採れなかった場合や採卵数は多くても正常受精卵数や胚凍結数が極端に少なかった場合は、それに応じた費用負担になりますから特定不妊治療の助成金の上限額を下回ることもあります。1回の治療で良い結果が得られなくても、2回、3回と治療を受けて頂ければ、多くの場合妊娠する可能性は高まっていくでしょう。しかし、1回目の治療の費用が高額であれば、その後の治療継続が難しくなりますので、患者様の「経済的な負担」を軽減することで、継続して治療を受けて頂けるように努めています。

あとは、他のクリニックと比較して待ち時間が短い点も特徴として挙げられます。当クリニックでは、私が開発したデータベースソフトを使って患者様の情報を管理・共有していますが、これにより各診察室、説明室、培養室などで瞬時に必要な情報や指示が確認できるため、採血検査や処方が無い場合などは当クリニックへお越しになられたらすぐに診察室にお入り頂いて、20分後にはもうお帰り頂いているということも可能となります。このように待ち時間が短いので、会社にお勤めの患者様の中には、お昼休みの時間を利用して受診されている方もいらっしゃいます。

Q

診療を行う際に心がけていることは?

A

不妊治療を受けるために当クリニックへお越しになられる方は、様々なストレスや不安を抱えていらっしゃいます。多くの方が、最初は不安そうな暗い表情でお越しになります。私は常々、「不妊症は病気ではない」と考えています。なかなか妊娠しないからといって、痛みがあるわけではありませんし、命の危険にさらされることもないからです。ただ単に「新しい家族がほしい」「お互いを父あるいは母にしてあげたい」という強いお気持ちから、痛みもない体に対して「経済的な、身体的な、精神的な負担」になるかもしれない不妊治療という扉を開けて来られるのです。我々スタッフはこのような強い気持ちを持って来院されるご夫婦を敬愛していますので、誠意をもって診療にあたらせて頂こうと常々心がけています。
また、診療を行う際には当然のことながら生殖医療のプロとして専門性を十分に発揮するという姿勢も重要です。これらのポリシーを両立させるためには、やはり「対話」が欠かせないと思います。「対話」を重ねることで、お互いの信頼関係が構築され、診療に必要な情報が蓄積されていくからです。「対話」で得られた情報と、苦痛がなく有用性が高い検査を総合的に判断し、本当に必要な不妊治療を実践していくことこそが診療にあたって日々心がけていることです。

Q

不妊治療を迷われている方へお伝えしたいことは?

A

「新しい家族を」を望む強い気持ちとほんの少しの勇気を持つことが、不妊治療の第一歩だと思います。情報が交錯する現代においては、不妊治療に対して「痛い」「怖い」「高い」というイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、当クリニックでは痛みに対して最大限配慮していますし、クリニックの雰囲気もいい意味で「病院らしくないもの」を目指して、快適に診療を受けて頂けるように努めています。例えば、駅からのアクセスが非常に良い点も、当クリニックが提供する「最初のサービス」であると考えています。費用負担についても「成果主義型の費用設定」を採用することで、負担を最小限にするような努力をさせて頂いてます。そして何よりも、私たちには高い専門性を最大限に活かすプロ集団の集まりですから、クリニックに来られる多くのご夫婦に幸せを提供できる自信があります。漠然と不妊治療は「痛い」「怖い」「高い」と思われている方や、治療を受けようかどうか迷われている方、今のクリニックでは検査や治療に対する説明があまり無くて不安だと思われる方、あるいは同じ治療の反復でなかなか良い結果が出ない方、そういった方々にこそ当クリニックの扉をノックして頂きたいと考えております。。

Q

春木レディースクリニックではステップダウン(※)によって妊娠する方が多いとのことですが、その理由は?

A

現在の体外受精が最高の治療かと言えば、必ずしもそうとは言えません。培養液という体外環境が開発されてから約40年程度、顕微授精という技術が生まれてから25年程度が経ちますが、いまだに胚を発育させる環境としては体内環境には及びません。体外受精で妊娠しなかったけれど、自然妊娠したご夫婦は比較的多く、実際に体外受精で良好胚が得られない方こそ、体内環境に期待すべきであると我々は考えます。極端にいえば、閉経後、あるいは明らかな受精困難症例(高度の男性不妊症)、子宮摘出後や両側卵管切除(結紮)術後の方を除き、自然妊娠が不可能ではないと考えます。そのため当クリニックでは、他のクリニックで体外受精を経験されていても、本当に一般治療による妊娠が難しいのかどうかを検討するようにしています。
体外受精の適応を決定する際に注意すべきことは、「先入観」です。例えば、患者様の年齢が40歳以上で比較的高かった場合、卵管通過性の検査などを行わずに、最初から「体外受精しか方法はない」と診断される場合が多くあります。しかし、当クリニックでは問診から「真の不妊期間」「今までの治療歴」などの情報を収集し、必要である検査を行ったうえで診療方針を決定します。多くの40歳以上の方が一般治療で当クリニックを卒業されています。そうした実績を経験しているからこそ、ステップダウンにも自信を持って取り組んでいます。
※体外受精から一般治療に戻ること